三好高校での模擬授業の際に配布した資料をご紹介します。
愛知県立三好高等学校「2年生対象模擬講義(文学部)」
担当: 高橋 秀雄(愛知大学文学部教授)
2008年3月14日(金) 10:30~12:00
1.「人文」について
Humanities ( humanityの複数)<(フランス語)humanitesユ・マ・ニ・テ
( 辞書Le Petit Robertル・プ・ティ・ろ・ベる の説明の一部 )
humanites :
16世紀はじめに初出。古典ラテン語humanitasフマニタース「教養、文化」のこと。ギリシア、ラテンの言語、文学のこと。(用例)「ギリシア・ラテンのフマニタースの研究」
16世紀にはまだ、ちゃんとした文学言語(書き言葉、文書における言語)が成立していなかった。人々は、自分たちの日常言語(イタリア語、フランス語、英語、ドイツ語、等)を文学言語に育て上げるために、ギリシア、ローマの言語・文化を学んだ。
わたしたちが現在使用している日本語、英語、フランス語などは、立派な文学言語でもある。わたしたちは文学言語を生まれたときからすでに所有しているために、このことを忘れがちである。
説明のために日常言語と文学言語を分けたが、現実には、言語はそれほど明確には分けられない。言語を使う状況を考えてみると、私たちはほとんどの時間、なかば無意識的に言語を使っている。しかし、議論し、考え、話し、書くときには、きわめて意識的に言語を使うこともある。今日でも、いや今日こそ、メッセージを正確に伝えるために、考えを深めるために、言語を磨く必要がある。
2.なぜ学ぶのか
・ 自分の弱さに打ち勝つため
・ 人間が弱い、惨めな存在であることを知るため
・ 人間が自由な存在であることを知るため
・
「自由」とは何か?
Fais ce que voudras. (Do what you will want.)
フェス・ ク・ ヴー・ドら
「欲することをなせ」
Francois Rabelais (v.1483-1553), Gargantua, 1534.
フランソワ・ラブレー『ガルガンチュア物語』
(主人公ガルガンチュアが学校をつくったときに定めた唯一の規則。)
・ 自分以外の人に関心をもつ。
・ 自分に勝つ(個性があるのではない、個性を作り上げるのだ。)
3.何を学ぶのか
どんな専門に向かうにも、つぎの2つのことが重要である。
1)「友」をつくる
「友」とは何か?
魅力的な隣人との出会い
本(世界中の、過去の、魅力的な人々との出会い)
自分との出会い
2)外国語を学ぶ
なによりもまず、言語を磨く一環として
4.本という「友」との交際
どのように本とつきあうか。
いかなるコミュニケーションでも、忍耐が必要。
(事例)読書感想文。
アルベール・カミュ(1913-1960)『異邦人』(1942)
主人公ムルソーはどのような生活をしているか
ムルソーが体験する事件は何か
あなたの印象に残った事件・場面は何か
5.外国語学習について
なぜ学ぶのか、どのように学ぶのか、ではなく、まず、何を学ぶのか、外国語を学ぶとは何をすることなのか、を考えよう。
わたしたちは、自分とは異なる歴史、文化をもち、異なる自然的、社会的環境のなかで暮らす人々とのコミュニケーションを目指している。こうした歴史、文化、生活を最も忠実に反映したものが言語である。外国語を学ぶとは、単にそうした人々の言語のメカニズムを知識として身につけるだけではなく、歴史、文化、生活を異にする人々の言語を人々の立場に立ってつねに受け入れ、使うことだ。
外国語をつねに使うとは何か、を考えよう。
A.「話す」/「聞く」
B.「読む」/「書く」
(A, Bいずれも大事だが、究極的に主になるのは、B .)
学習の3原則:
Motivation やる気
Repetition 反復
Reflection 反省
6.文学部、人文学部(人文学科)
対象: 人間を研究すること。
(なかなか解決できない、しかし、つねに緊急のテーマ。)
方法: 歴史的方法
テクストを正確に読む(分析、総合)
議論、対話をくりかえす
口頭、文書で表現する
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